rent 3rd. oct. preview opening night 1 2はこちら

※以下、独断と偏見による個人的な感想と、ネタバレを多く含みます※


真っ白い壁に、真っ白い床に、真っ白いイス。客席に入ると、まずこのモダンテイストな舞台セットが目に入って、おお、格好いい!というのが最初の感想。ナオ達の席は、前から2列目のはじっこ。あえて、最前列と中央は避けました。ほぼ満席だったかな、観客のレントという作品への期待が空気に滲んで、劇場を満たしてる。早く始まって欲しいような、欲しくないような。アナウンスもなく、静かに灯りが落ちて、プロローグ、が始まった。

これでもかなり、何が起きても受け入れる準備は出来ていたし、アメリカ版と比べることのナンセンスだって理解していると思っていたのだけど、ナオの器はあまりにも小さすぎました。それに、自分で考えているよりもっとずっと、あのレントが好きだった。つまり、簡単に言うと、リミックスレント、悔しいくらいに、本当に、悔しいくらいに、批判的視点で、観てしまった。

声を大にして言いたいけど、決して、キャストのせいではないです。キャストはみんな、初日とは思えないくらいに、素晴らしかった。こんなに誰も彼もが聴かせるレントは初めて。そこは惜しみない拍手を送りたい。みんな、最高!!!特に、ロジャーの貫禄と上手さには驚きました。理想のロジャーです。歌の上手さが、彼は際だっていた。モリーンもジョアンも、ミミもベニーもコリンズも、マークもエンジェルも、非の打ち所がない。ソロは力強く、不安定さが全くない。コーラスは、完璧なハーモニーからくる、言葉に出来ないくらいの一体感。本当に、素晴らしかった。

ナオにとって、じゃあ何が問題だったのかというと、演出と、楽曲のアレンジ。そして衣装。正直に感じたことを書くなら、一言、最低でした。だからこんなに悔しい。作品としての評価に、ギャップがありすぎる。こんなに素晴らしい、奇跡のようなキャストが集まっているのに、演出がこれだから一滴の涙も流せなかった。歌にもストーリーにも、感動する前に、その演出に思いっきり引いてしまった。初日だから、というには余りにも嫌いだったシーンが多すぎて、これは絶対に、演出家がいけない。だけどこういうのは好みの問題だから、あくまでも、ナオはそう感じた、ということです。

本当に、もうどうしようもなく、がっくりとしてしまったのが、エンジェルの最期、コンタクトからその後ずっと。ナオにとってはこの一連が一番レントのクライマックスだったから、余計に、うわーーーっと、反射的に目を反らしてしまった。センスのかけらも感じられなかった。何でオリジナルのままでいけなかったのか、不思議で仕方がない。ちょっと具体的に書くなら、まずコンタクトは、まるでシカゴとジョセフを足して割ったような感じ。この2つはそれぞれで観るなら素敵だと思っているけど、合わさってレントになったら、最低です。本当に、エンジェルにこんなことして、ナオは怒りすら沸いたよ。次いで、コリンズのアイルカバーユー、みんなのエンジェルへの追悼の言葉が歌の後で、とにかく演出が本当に酷い。そして、ハロウィンからグッバイラブ、ここはもう、嗚咽でいつも泣いてしまうんだけど、今回のはちょっと、驚きで笑ってしまうくらい、酷い演出。衣装。目を疑う。今も思いだして、信じられないと笑うしかない。これはもう、歌や演技どころではない。とどめにワッチューオウンです。驚いたことに、マークのソロナンバー。…?ロジャー??どこ行った?サンタフェ?

誤解しないで欲しいのは、それぞれ、キャストの歌や演技は素晴らしかったということ。レントのストーリーの一連で聴くのではなくて、コンサートとか、CDとかで聴いたなら、ああ良いな、と、きっと思うと思う。この演出と美術を無しで聴いたなら、絶対に大絶賛してる。そこに疑いはゼロ。素晴らしかった!!

他にも、言いたいことがまだまだ沢山ある。アウトトゥナイトと、アナザデイも演出が酷かった。個人的にも大好きなシーンだから、もう違う意味で泣きたいくらいだった。エンジェルは、全て、全て、衣装が酷すぎる。こんなに可愛い美しい子をキャスティングしておいて、これじゃああんまりだよ。酷い。酷すぎる。クレイジーな廃れた引退後のダンサーにしか見えない。人間として、崩壊しすぎ。※絶対にウェブ君の責任ではないから!!!※ それに、全体的に、お金に困っているボヘミアンには見えない。百歩譲っても、見えない。みんなある程度金持ちだよ。何に反発しているのか、わからない。社会に適応しているキャラクター達。レントの精神みたいのが、全く無い。※絶対にこれも、キャストの責任ではない!!!※ 現代に置き換えることで、こういう演出になったのなら、置き換える必要性が全く感じられない。何かとても、不自然だよ。

曲のアレンジも、全部観て思ったのは、頑なに、ロックナンバーをバラードのような、ポップスのような感じにひたすらかえていて、そこにもセンスも必要性も全く感じられなかった。メロディーラインや歌詞は殆ど、変わってません。だから、レントの曲と認識はもちろん難なくできるのに、アレンジのせいで、ロック的な熱や勢いがゼロ。みんな凄く上手いのに、凄く素晴らしく歌い上げてるのに、ガツンとか、ドスンとか、こないのがとても、もどかしい。ロックの要素って、レントに必要不可欠だと思う。若さから来る反発とか勢いとか、そう言うのを肌で感じてレントっていう作品をより盛り上げてるんだと思うんだ。ロックがそういうのを担ってる。もしかして、演出家やアレンジの人は、レントがもしかしたら、嫌いなのかな、と疑いすら抱く。だって、余りにも、レントのもつ良さがこれっぽっちも残っていない。哀しいくらいに。

さて、ひたすら文句を書いてきたけど、今回の変更で、その全てを無かったことに出来るくらいに面白い変更がありました。最高だ、さすがイギリスだ。マークが物語を通してよりフォーカスされている、とは聞いていたけど、正にその通りでした。とんだマークの成長ストーリーです。ロンドンのレントは、マークがゲイ設定。G−A−Yです。歌詞が殆ど変わってないので、言葉でそのことが説明される事はないのだけど、オビアスです。明確。マークの役者さん、素晴らしかった!!!モリーンと付き合っていました。でも、彼女がレズビアン転向し、その彼女であるジョアンや、最高にヒップなエンジェル、コリンズと交流をしているうちに、目覚めました。ラビボエームで脱ぎます。マーク、絶好調!!

この変更、下手な役者がやれば、ナオは絶対に最低!!!悪趣味!!!と非難ゴーゴーだったと思う。だけど、マーク役の人の演技と、顔の可愛さに、完璧に、虜!いやいやいや、可愛すぎる、下手したら、エンジェルより可愛い。まるでエンジェル。想像を絶する変更でした。もし万が一、オフィシャルにマークゲイ設定が無かったとしても、ナオは自分の目で観たものを信じます。このマークがもう一度観れるなら、またレント観に行きたい。マーク、エンジェル、コリンズの並びが可愛すぎる。

冷静に考えてみれば、マークをゲイもしくはバイ、もしくはストレイトだけどゲイっぽく、なんていう変更は、完全にマークというキャラクターの崩壊だとわかってる。オリジナルでは、マークが他のキャラクターより、一歩現実に近いところで生きていて、普通に、地味に、リアルに、人から好かれる面白い優しいキャラクターということに、意味があると思ってる。レントの歌詞にもあるように、メインストリームの中にいることで、メインストリームから外れてる、というニュアンス。奇人ばかりのところにいる普通は、それも立派な個性。マークはそういうキャラクターだと思うから、この変更はいけないとも思う。だけど、だけど、だけど、そんなことがどうでもよく思えるくらいに、本当に、可愛かった!!!グッジョブ!!!

ミーハーです。わかってる。どんなに演出で引いたとしても、このマークの可愛さと、エンジェルのポテンシャルな可愛さと、ロジャーの歌があるなら、ああレント観たい!と思います。終演後、帰り道は、演出の酷さに怒りが治まらなくて、キーーーと悔しがってました。一晩経って、朝起きて、残っていた感情は、ああ、マーク可愛かったな、エンジェル可愛かったな、また観て考え色々改めたいな、でした。受け入れます。ここに来てようやっと、受け入れることが出来る気がします。

ロンドンレント、人にお勧めはしません。特にレントという作品を好きな人には。だけど、一方で、矛盾しているけど、レントを好きな人にも、このマークをはじめとする、素晴らしいキャストは是非観て欲しい。ロンドンの役者の質の高さが伺えます。心の目で観るなら、それで良いと思う。そもそも、イギリスでレントはやっぱり全く相反するものなのだな、と、妙に納得できました。アメリカとイギリスの文化の違い。こういう解釈でレントを受け止め、表現してるイギリス。ナオには理解は出来ないけど、面白いな、とは思いました。

ああ、案の定、長々と、書いてしまいました。もっと、もっと、書きたいことがある。例えば席を取るために、4時間前から並んでいるレントヘッズのこととか、オフィシャルのカメラインタビューのこととか、並びながらどこからともなくはじまるシーズンズオブラブのこととか、列を見てニヤニヤしてるキャストのこととか、他の観客の反応とか、そういう、絶対に忘れたくない事が沢山あります。初日ならではの出来事。近いうちに、2ページ目を作る!!もしよかったら、もう少しおつきあい下さいませ。 続き出来ました。こちらからどうぞ!



マークとエンジェル、こんな感じ。くねくねマークと、たくましいエンジェルでした。可愛い可愛い!!



041007